丸亀城 花の歳時記
ISBN:9784863870338、本体価格:1,300円
日本図書コード分類:C0045(一般/単行本/自然科学/生物学)
160頁、寸法:148.5×210×10.3mm、重量g
発刊:2013/06

丸亀城 花の歳時記

【まえがき】
 冒頭から私事を申し上げて恐縮ですが、私は生来虚弱体質で幼い頃からよくお医者様の世話になっていました。
 とあることで友人に勧められ、数年前から実施している健康法があります。それは丸亀城のウォーキングで、お城を2~3周することです。
 最初は歩行に多少苦痛を感じていましたが、回数を重ねるにつれて次第に足は軽くなり、‘健康’以外にも当初は予期していなかった収穫がありました。それは、お城の樹木や草花と仲良しになれたことです。彼ら彼女らの日々の生育状況を観察し、カメラに収める毎日が続きました。それらを集大成したのがこの「丸亀城花の歳時記」です。
 内容を‘分かりやすく’、そして‘楽しく読める’を原則として、左右見開きのページとすると共に、各ページに写真を豊富に取り入れようと心がけました。
 たまたまこの小著を刊行する平成25年は、昭和28年に丸亀城跡が国指定史跡(国宝)に指定されてから、60周年という記念すべき年にあたります。この1冊が「錦上花を添える」こととなれば望外の幸せと存じています。
  長岡 公

【おわりに】
 あとがきの筆を進めるに当たり、お城で触れあった草木の数々が懐かしく私の脳裏に浮かんできます。それに対し、小著への記載内容が適正であったか否かについては、多少危惧しています。もし不適正な点がございましたら、遠慮なくご指摘・ご教導くださいますようお願い致します。
 編集に当たり特に深く感じた点は「万葉人と植物との密接な関係」でありました。野の花を人格化し、暖かい人間性で接した万葉人には胸打たれるものがあり、その歌は極力紙面に紹介するよう努めました。中でも「スミレ」を主題に詠った下の一句が特に印象深かったので、再度掲載します。
 春の野にすみれ採みにと来しわれそ
      野をなつかしみ一夜寝にける
        山部赤人(巻八-一四二四)
 終わりに、刊行に際し何かとご尽力をいただいた株式会社美巧社に対し、衷心よりお礼を申し上げます。
  長岡 公

【目次】
まえがき
丸亀城植生分布検索図

〔春に観賞する植物〕
春に先駆けて咲く ウメ
小さい春を告げる オオイヌノフグリ
春の便りを届ける ヤブツバキ
可憐な春の使者 タチツボスミレ
春の野の代表的な花 タンポポ
弥生野を踊る ヒメオドリコソウ
春爛漫・お城のサクラ ソメイヨシノ
サクラの早咲き種 ジュウガツザクラとカンヒザクラ
内堀の斜面に群生する マツバウンラン
お城の新緑
木陰に生える ウラシマソウ
ビワによく似た イヌビワ
〔初夏に観賞する植物〕
薫風に揺れる ハリエンジュ
三の丸西北部に草茂る クララ
新緑に映える センダン
あやめ池を彩る キショウブ
風薫る草原に咲く ニワゼキショウ
トゲを持ち咲きながら散る ノイバラ
堤防の斜面に乱舞する キバナコスモス
ひっそりと内堀に姿を映す ネムノキ
新樹の潅木類を覆う スイカズラ1-C
梅雨空を謳歌する エビガライチゴ
三の丸北側の草原で揺れる フシグロ
青紫の小花が一面に広がる タツナミソウ
〔盛夏に観賞する植物〕
夏草の王者 ノアザミ
さみだるる石垣に咲く マルバマンネングサ
人里に自生する野生ラン ネジバナ
甘い香りを放つ クチナシ
草深い中に色鮮やかな サフランモドキ
日盛りにも強い ヒルガオ
城内の優勢種 ヒメジョオン
夏草を見下ろして咲く ヨウシュヤマゴボウ
枝葉に毒を隠し持つ キョウチクトウ
石垣を背に群生する ヤブカンゾウ
盛夏を飾る オニユリ
葉陰でひっそりと咲く ナツフジ
夏風に涼を呼ぶ キンミズヒキ
多彩な実をつける ノブドウ
名前のわりに可憐な花 ヘクソカズラ
小さくても腰が強い コマツナギ
生長力抜群の蔓性植物 ヤブガラシ
残暑の中、孤高を楽しむ ナツズイセン
〔秋に観賞する植物〕
生長力抜群の山野草 イタドリ
かぶと岩周辺に咲く カラスノゴマ
照葉樹林で咲く花 ヤブラン
休憩所一帯に所狭しと咲く ミヤギノハギ
秋の七草のひとつ クズ
日照を好む多年草 ツルボ
特有の臭気がある低木 クサギ
純白の花で秋を呼ぶ センニンソウ
朝にはしぼんでしまう オシロイバナ
素朴な穂で秋風を誘う エノコログサ
緑のじゅうたんに目を見張る チヂミザサ
秋の日に風情を添える ススキとオギ
秋空に一段と映える ヒガンバナ
天守閣の風格を高める アキニレ
植物界のドラキュラ ネナシカズラ
嫁のように愛らしい花 ヨメナ
石垣の南側で群生する イモカタバミ
ヨメナに似た白い野菊 ヤマシロギク
子どもたちの人気者 ドングリ
お城の紅葉
行く秋を惜しみつつ咲く花 ツワブキ
〔冬に観賞する植物〕
お城の冬を彩る サザンカ

あとがき

【著者紹介】
〔著者〕
長岡 公