シニアが拓く未来 -延ばそう健康寿命いつまでも社会とのつながりを!-
ISBN:9784863870543、本体価格:1,300円
日本図書コード分類:C0036(一般/単行本/社会科学/社会)
182頁、寸法:148×211×10.5mm、重量273g
発刊:2014/10

シニアが拓く未来 -延ばそう健康寿命いつまでも社会とのつながりを!-

【まえがき】
監修者として 一般財団法人人材支援機構代表理事 竹川 勝雄
 良き人生とは何か。現役時代は職業に邁進し、退職後はボランティア活動に励み常に社会に向き合い続けられることかもしれません。本書を通して「社会かくあるべし」と願うシニアのボランティア・一人ひとりの志を感じ取ってほしいと思います。
 「社会かくあるべし」が実現するには何が必要でしょうか。それには、世代が互いに責任を持って連携することが不可欠です。現役を退いたからと言って子供や孫が生きる社会や組織の仕組み風土をつくってきたことに対して無関係ではいられないでしょう。改革が先送りされた中で変革の必要性にもがく現役人を傍観したままで良いでしょうか。
 紀元前50年頃のローマの執政官であり哲学者でもあったキケロ(Marcus Tullius Cicero)。彼の著書「老年論」は、その後2千年にわたって世界中で読まれています。
 著書を通してキケロは、若者に“老年”を語ります。「人は若い時代の教養が晩年の豊かさにつながる」「外国のことを読んだり聞いたりすれば、大国は青年たちによって滅ぼされ、老人たちによって支えられ再建されたことを見いだすはず」と。一方でその内容は若者にとってとても示唆に富んでいます。
 また、キケロは、「誰のための植樹なのかと尋ねられた老人は誰でも、子孫に引き渡すためと答える」。さらに、紀元前200年頃のローマの詩人カエキリウス・スタティウスの『次の代の ためになれかし 植樹する』を引用します(八木誠一・八木綾子訳:「老年の豊かさについて」、法蔵館(1999))。こうして、キケロは世代間に連携があることを語るのです。
 世代が連携するとは、将来にわたって次の世代があるべき姿に向かって歩めるように互いに働きかけ続けることです。こうした社会観はボランティアをはじめ、全ての人々に必須のことと言えるでしょう。
 本書では、第1~3章、第6章と第7章は著者の伝えたいことが息遣いとして読者に生の感触で伝わるように文体、文章様式などを敢えて統一していません。第4章と第5章は、ボランティアと行政との協働、そしてCSR(企業の社会的責任)とOBボランティアの連携活動であり、社会づくりの先駆的な活動事例を寄稿していただいたものです。
 なお、タイトルを含め本文中では高齢者、老年、シニアを前後の文章から適宜に使い分けしていますが主体は高齢者です。
 さて、一般財団法人人材支援機構では、世代が責任を持って連携する社会づくりをコンセプトにした活動について具体的な提案をお持ちの方、既に進めておられる方々と“シニアが拓く未来”プロジェクトを連携して進めたいと思っています。
 件名を世代間連携として、takekawa@f7.dion.ne.jpへお願いします。

【目次】
推薦の言葉  一般社団法人シニア社会学会会長 お茶の水女子大学名誉教授 袖井 孝子
まえがき 監修者 一般財団法人人材支援機構 代表理事 竹川 勝雄
第1章 ボランティアとは何か ―歴史と社会的意味― 放送大学北海道学習センター所長 北海道大学名誉教授 筑和 正格
第2章 ボランティア活動と公共的な社会 札幌市市民まちづくり局 市民自治推進課長 久道 義明
第3章 ボランティアと団体を法律面からアドバイス 弁護士法人 小寺・松田法律事務所 弁護士 小寺 正史
第4章 世代間の連携によるコミュニティの力
 Ⅰ 方向性も強さも深さも違う民意を総意へ(被災地復興)
   玉浦西地区まちづくり検討委員会・岩沼市防災集団移転促進事業~コンセプト―想いは未来へ~ 岩沼市役所建設部 復興・都市整備課
 Ⅱ 方向性も強さも深さも違う民意を総意へ(学校支援ボランティア)
   信州型コミュニティスクール ~地域の皆さんが集う学校へ~ 長野県教育委員会事務局文化財・生涯学習課 課長補佐兼生涯学習係長 下條 伸彦
 Ⅲ 退職者世代のボランティアが支える明日の日本
   ・「おやじの会」~高齢者世代男性の居場所づくり&地域デビュー~ 北海道上川郡鷹栖町社会福祉協議会 係長 梅澤 美幸
   ・「網干片岡庄屋塾 寺子屋教室」~地域皆の宝物・子供たちに向き合った地域の自主的な子育て教室~ 兵庫県姫路市 網干片岡庄屋塾寺子屋教室 代表者 谷口 道和
第5章 OBと現役のボランティア活動最前線
 Ⅰ 企業が関わるボランティア活動
  1.大成建設株式会社 環境本部 企画管理部 地球環境室
  2.トヨタ自動車株式会社 社会貢献推進部 地域支援グループ
  3.南都銀行 総合企画部/公務・地域活力創造部
  4.パナソニック株式会社 ブランドコミュニケーション本部 CSR・社会文化グループ
  5.マツダ株式会社 総務部 総務・コミュニティグループ
 Ⅱ 団体が関わるボランティア活動
  1.全国警友会連合会
  2.スポーツ競技団体
第6章 熟年必須の「生涯学習」と「ボランティア」 月刊生涯学習通信「風の便り」編集長 三浦清一郎
第7章 エイジレス社会実現のためのシニアの役割と未来の日本 実践女子大学 教授 細江 容子
著者・監修者紹介
あとがき

【著者紹介】
〔監修者〕
竹川 勝雄
〔著者〕
筑和 正格
久道 義明
小寺 正史
三浦 清一郎
細江 容子

【推薦の言葉】
一般社団法人シニア社会学会会長 お茶の水女子大学名誉教授 袖井 孝子
 男女とも平均寿命が80歳を超え、いよいよ「人生90年時代」の幕開けです。高齢期の問題といえば、とかく医療や介護に偏りがちですが、高齢者の多くは、健康に恵まれ、日常生活に支障のない人が大部分です。また、経済的にゆとりのある層も少なくありません。長くなった人生の午後を、ただ自分や自分の家族のためだけに費やすのは、あまりにももったいない。生きがいのある充実した日々を過ごすには、地域や社会に貢献できるようなボランティア活動に従事するのが最適ではないでしょうか。
 内閣府「社会意識に関する世論調査」(2014年3月)によると、「何か社会のために役立ちたいと思っている」人が全体の3分の2を占め、60代では約7割にのぼります。
 社会に役立つような活動をしたい人はたくさんいますが、実際に活動している人は、それ程多くはありません。その理由は、きっかけがつかめない、情報がない、どこに行けばいいのかわからない、新しいことを始めるのはおっくうだ、などです。
 この本は、ボランティアをしたいのだが、実際に始めるにはどうしたらよいのかわからなくて困っている人たちのためのガイドブックとなるものです。ボランティアのチャンスは、身近にいくらでもあります。この本を手掛かりに、是非、新しい活動に挑戦してください。