直ぐ使える人生学入門 先賢先達に学ぶ・叡智溢れる人生指南 これだけ知れば強く&やさしく生きられる!
ISBN:9784863870635、本体価格:650円
日本図書コード分類:C1010(教養/単行本/哲学心理学宗教/哲学)
102頁、寸法:105×173×6mm、重量103g
発刊:2015/07

直ぐ使える人生学入門 先賢先達に学ぶ・叡智溢れる人生指南 これだけ知れば強く&やさしく生きられる!

【はじめに】
 人間は幸か不幸か高い知力と器用な手足を備え持つ。これは人間だけに与えられた天賦の能力である。この能力に依って人間は他の動物とは違った様々の生き方が出来る。人間独特の文化文明を開き築く。動物は衣食住において、衣は自前の頑丈な毛皮を備え持ち、食住は鋭い牙や爪や素速い運動能力で自然界からの恵みとしてそのままの形で得られ自然と融合して生きられる。其処へ来ると、人間は「人間は考える葦である」あるいは「迷える子羊」と云われるように無防備で弱い繊細な生き物で、動物の様に粗野乱雑な自然の儘の環境には生きられない。人間はこの生きる基盤の衣食住を、天賦の高い知力と器用な手足を使って自然のものを人間に合う形に造りかえて獲得する。また、人間は貪欲にて衣食住だけでは心が満たされない。しかも社会的生き物と云うことから何か高等遊戯と云うような遊びを必要とする。人間、高い知力と器用な手足を持つお陰で知恵や知識や技量を競い合うと云うような遊び、暇つぶしが必要となる。而して人生ごとはことここから始まる。
 人生は「矻こつと根気よく・・・やや繁忙やや逆境に身を置いて・・・そして長生きすること」である。牛歩千里を行く、の譬(たとえ) あり。物事の成就は急いてはならぬ、投げ出してはならぬ。またそこに何か一つでも生き甲斐を感じるものあれば至上の幸いである。そこに虚飾粉飾見栄虚栄、栄誉栄達は要らぬ。これ無用の長物なり。

 人の一生はなべて波瀾万丈である。一つの物語になる。それは大海原を小さな船に乗って航海するに似たり。何時暴風雨高波に遭うか分からない。人が集まってつくる人の世があるからである。人類と云う生命体が何時何処でどの様にして誕生したかは人知を以ては知ることは出来ない永遠の謎なのだが、それぞれ何の宿業因縁かこの世に生まれ、爾来思い悩み迷い苦しみながら徒ら生きる。人は二十才までの若輩の頃は、人間とは何か、人が寄り合ってつくる社会とは何か、そして自然界を支配する摂理法則も、力不足知識不足ゆえにその正体、真相、仕組み、唐繰りは見えないこと暗箱ブラック・ボックスの如くなり。それらを動かしている力即ち深奥なる正体真相は何なのか分からぬまま生きる。それが心に見えない知に分からないとき、人は迷いと焦燥と恐怖を覚える。人生即ち人の一生、人の心、人の世界そして自然界とは突き詰めれば何なのか、それを動かしている真即ち正体は何なのかが見えて来るまでには長い時間を要する。歳月を重ね幾多の先賢の書物を漁りまた今ある身上での経験見聞学問思索探索瞑想研鑽を積んだ後に漸くその時が来る。そしてその真即ち正体正味本質が見えたとき、人は強くなりより優しくなる。これ剣豪の「見切り」に似たり!?。

本小書は著者が若輩の頃から今日まで悩み迷い苦しみ思索瞑想した、人とは何か、生きるとは何か、人の世この世とは何か、有るのか無いのかなど、その真理法則、正体、正味を問い糺さむとあるいは強く生きる糧ならむと頼みながら読んだ幾多の名著好著の覚え、人生観、人生訓、人生哲学など人間、人生、人の世に関わる先賢先達の叡智機知溢れる高言、人生言葉、魂しいの言葉を借りながら、筆者の実経験、見聞、思索、瞑想を絡めた溜め書き帳を取捨選択整理整頓し、私観、私説、見解を所々に挟みながら纏めた著述である。著述は簡潔明瞭を期すために冗長散逸を避け論議や説明解説は最小限にとどめ箇条書きを旨とした。
 本小書は他の書物、流行小説や茶話などのように面白ろ可笑し、泣いたり笑ったり怒ったり楽しんだりする類いのものではない。冷徹青眼の目から見た人生の真理・真実・現実および人生の道標の探究と覚える著述である。これ己が胸懐に閉扉しておけばよいものだが、「人に知らしむるに著述に如くはなし」との謂われの下、この習いに倣ってこの小書を書き残さむとするものである。この小書を読む際、流行小説や新聞のように斜め読み飛ばし読みをせず、隅からすみまで克明に読破下さい。

 拙著が、日頃迷い思い悩む人びとの、己が人生をより強くそして優しく生きるための心の柱、心の糧、心の置き処、胆の据え処の開拓、生への開眼となり、また比喩すれば空腹時の一切れのパン、喉渇時のコップ一杯の水となれば幸いである。本小書に出会った人に幸いあれ!

【むすび】
 人生について思うこと考える事、瞑想随想、その見方考え方をいろんな視点から先賢先達の人世言葉や魂魄の言葉を借りながらアラカルト的羅列的に述べた。人生とはどう云うものか、どう在るのが望ましい姿なのか、善不善正不正の規範なしに大凡掴めたのではないか。そして人生を生き切る上での気構え覚悟も出来たのでないか。本質が見えると気が楽になる。そして「人生に意味なんか有りません」と云われる人生を生きる勇気と希望が湧いてくる。小書が、喉が渇いたときのコップ一杯の水、腹が減ったときの一切れのパンとなれば幸いである。

 人間生まれ来たらば生きるしかない。これ他の生き物もしかり。そして人間はそれぞれに独自の才能器量気性気質を持って生まれて来る。これは宿業因縁星の下と云われるものである。どんな先祖両親、環境の下に生まれるか、本人は知る由もない。人は一生それに沿ってあるいはそれを背負って生きねばならぬ。どれが善くてどれが善くないと云う訳ではない。どれでもよい。これは他力による宿命である。人の世はこの個々人が持つ独自の才能器量気性気質の相互作用で形成されておるゆえ常に衝突混乱混迷し動き揺らぎ定まることなし、不動と観る宇宙も実は常に動き揺らいで止まることなし。

 生まれ来て何もせずでは退屈である。退屈凌ぎに何をするかは本人次第である。他の人が決めることではない。が、人間ごとは国人種を問わず皆同じ。文明国であろうとなかろうと、憲法教典が変わろうと神世の昔から人間の本性本質正味は変わらない。正味の他はみな虚飾である。この虚飾で人の世は騒ぎ動く。道元禅師曰く「人は生まれて食うて寝て死ぬだけだ」。これさえ弁えておればどんな艱難辛苦にも仰天せずに生き切れるそして死に切れる。

 国人類の歴史を鑑みれば戦争紛争権力闘争など人間同志の殺し合い殺戮の歴史である。この事実は神代の昔から変わらない。一つ人生、殺人、強盗、詐欺、横領をしなくて済めば幸いであると云うべきか?この問いは残念ながら疑問符が残る。人間、いつどう変転するか分からない。何しろ人間は欠陥動物である上に総じてウオント欲望で生きているから道理も秩序も利かず破られること屡々なり。知高く情熱き人間の逃げられない避けられない宿命か。

 我れ今、無益に星霜を重ねて七十路。その間、[嬉しいこと、悲しいこと、苦しいこと、怖いこと、危ういこと]、とにかく思いおこせばいろんなことがあった。そして、今やまさに定年退職後十余年を迎えた一(いち) 年金生活者である!過ぎし日のことは、書物に遺した形跡はあれど、今や皆、夢・幻ろしの如くなり!今在るはこの老体一身なり!今に至ってつれづれ思うことどもつまり今の心境の一端を以下に書き留める。

・海の潮騒よりも小川のせせらぎを我れは好む
・海水浴よりも温泉を我れは好む
・唄い踊り回るライブコンサートよりも可愛い小鳥の鳴き声を我れは好む
・トロピカル・サンよりもガラス越しの日溜まりを我れは好む
・都会の雑踏喧噪よりも田舎の青風閑寂を我れは好む
・霜降りの肉、マグロのトロよりも赤身・白身の魚を我れは好む

 振り返れば人生束の間だ。凝縮すれば何ほどの事はない。されど歩いているときは長くて遠い。気が遠くなるほどだ。そこから出てくる人生の答えはこうなる。芽生えた命は萌えて燃えて、地球が太陽の周りを百回まわるを待たず萎れ縮み枯れて一生を終え地上から消えて行く。あたかも何もなかったように。空ろな名のみを残して。このように人の一生は儚いものであるが故に尚更に人は互いに支え合い助け合い褒め合い励まし合って人と共に生きる。人は一人では生きられない。親が居る、兄弟が居る、相棒が居る、友が居る、同僚が居る、他人が居る。多くの人多くの他人と関わり合って生きる。己が命がある限り生きる。これがまさしく人の人生、人の一生である、と云うことになるのであろうか。

【目次】
はじめに
第一章 人生・人の一生
 人生とは
 人の一生は
 余談・閑談 神は天地人の無責任の創造主
第二章 人生と社会
 人生に隔たりなし
 職業・外から観れば
 余談・閑談 医学と宗教は聖域の業
       技術者・礼賛
       終始一貫の人生
       人生・為せば成る
第三章 人生と幸福
 幸わせの三感
 至福 その一 これに卓る幸わせなし
 至福 その二 幸わせの三つ揃え
 余談・閑談 幸わせで居たければ
第四章 人生と仏教の教え
 仏教の教え―その真実は―
 道元禅に学ぶ叡智・十六選
 道元禅の機知に学ぶ
 余談・閑談 言葉と三つの世界
       娑婆と言葉
       親鸞僧都のパラドックス
       良寛僧都の覚醒
       諸行無常
第五章 堂々人生―人生の王道を行く
 職人・達人の魂しいの言葉・逸話二、三
 覇者・名士の人生問答・逸話二、三
 余談・閑談 先賢・知者に学ぶ高言二、三
第六章 悠々人生―或る凡夫の人生平和考
 親父の小言
 健康十訓
 凡夫の七訓
 自分の能力と遊ぶ
 世の片隅で生きる
 この世の宝―子にしかめやも
むすび

【著者紹介】
〔著者〕
吉岡 捷爾