ヴェールト詩集
ISBN:9784863871717、本体価格:2,000円
日本図書コード分類:C3098(専門/単行本/文学/外国文学その他)
226頁、寸法:148.5×210×13mm、重量323g
発刊:2022/10

ヴェールト詩集

【内容紹介】
今年、2022年は詩人ゲオルク・ヴェールト(1822年~1856年)の生誕200年に当たる。
訳者とヴェールトとの出会いは1981年のワイマール(当時「ドイツ民主共和国DDR」所謂「東ドイツ」)での夏季ドイツ語教員研修時に市内シラー通りにある書店でヴェールト研究のアンソロジーによって名前を知り、その4年後今度はベルリン(東)の目抜き通りウンター・デン・リンデンにあった古書店でカイザー版全集5巻を手に入れたときに遡る。全集を手に入れたことで本格的に読むようになり、その後いくつかの研究論文や翻訳を紀要、学会誌、研究同人誌等に発表してきた。この詩集は長年取り組んできた訳者からの、この詩人の生誕200年に当たってのささやかなオマージュである。
ヴェールトの生涯については各章の初めに簡単に記しておいた。ヴェールトは本業は飽くまでも商業活動で、文筆で身を立てる気はサラサラなく、気の向くまま、プロレタリアートの側に立ち、状況に応じて抒情詩、小説や物語、ルポルタージュを書いた。そのために没後は抒情詩が時たまアンソロジーや新聞に採用されることはあってもほとんど忘れ去られて、1956年の没後100年を記念して「カイザー版全集」5巻が出版されるまでは注目されることも少なかった。
この『詩集』の翻訳に当たって、詩の選択、注をつける参考および底本としたのは以下の文献であるが、必要に応じて可能な限り手元にあるオリジナル(初出紙誌・アンソロジーおよびその復刻版並びにリプリント、コピー)も適宜参照した。
 Georg Weerth Ausgewählte Werke. Hrsg. von Bruno Kaiser. Verlag Volk und Welt. Berlin. 1948.
 Georg Weerth Sämtliche Werkte in fünf Bänden. Hrsg. von Bruno Kaiser. Band 1. Gedichte. Aufbau-Verlag. Berlin. 1956.
 Georg Weerth Ausgewählte Werke. Hrsg. von Bruno Kaiser. Insel Verlag. Frankfurt am Main. 1966.
 Weerths Werke in zwei Bänden. 4. Auflage. Hrsg. v. Bruno Kaiser. Aufbau-Verlag Berlin und Weimar. 1976.
 Georg Weerth Vergessene Texte. Zwei Bände. Hrsg. v. Jürgen-W.Goette, Jost Hermand und Rolf Schloesser. c.w.leske. Köln. 1975.
 Gerog Weerth Gedichte. Hrsg. v. Winfried Hartkopf unter Mitarbeit von Bernd Füllner und Ulrich Bossier. Philipp Reclam. jun. Stuttgart. 1976.
また以下の訳詩集に収められている数少ない既訳も適宜参照した。
 井上正蔵編『ドイツ解放詩集』(河出文庫)1954年
 『世界名詩集大成』第六巻 ドイツ編1(平凡社)1960年
 井上正蔵訳編『ドイツ名詩選』(学生社)1961年

【目次】
Ⅰ 一八四一年~一八四三年
 カーニバルの歌
 連作「愛」より
 連作「ワイン」より
 ブドウの出来が良くなかった
Ⅱ 一八四三年~一八四七年
 海上のある日曜日の夕べ
 オランダ紀行
 自然
 産業
 ようやく十八年
 飢えの歌
 ライン地方のブドウ栽培農民
 働け
 災難に遭ったジャガイモの歌
 ランカシアの歌(貧しい仕立て屋がいた/ハズウェルの百人の男たち/ランカシアの年老いた亭主/大砲鋳造工/ヤツらはベンチにすわっていた/真っ暗な夜がやってきた/これが暗い湿原にある家)
 哀れなトム
 メアリ
 あるアイルランド人の[挽]歌
 ドイツ人とアイルランド人
 あるアイルランド人の祈り
 遍歴職人の歌(別れ/高い山の上で/青々とした森で/三人の男前の職人たち/桜桃(さくらんぼ)の花咲く頃)
 父なる神が世界を作ったとき
 ヨシュア
 ソロモン
 ヨセフ氏とポティファルの妻
 ブリュッセルのドイツ人亡命者
 オーステンデの冒険
 一年
 上流階級(オート・ヴォレー)
Ⅲ 一八四八年
 皇帝カール
 聖霊降臨祭の唄
 唸る者と煽動する者
 警視総監になったら
 今朝デュッセルドルフへ行った
 この世で敵に噛みつくことほど愉快なことはない
 結びの歌
訳者あとがき
索引

【著者紹介】
〔翻訳者〕
髙木 文夫