英語の歴史 外面史 近代英語まで
ISBN:9784863871762、本体価格:1,000円
日本図書コード分類:C1020(教養/単行本/歴史地理/歴史総記)
60頁、寸法:148.5×210×4mm、重量110g
発刊:2023/03

英語の歴史 外面史 近代英語まで

【まえがき】
「ことば」は文化の基盤であり、それを母語とする人たちに脈々と受け継がれてきた思考法、認識法、発想法を映し出すための手立てとなる。さらには、それらの形成を支える要素の一つが「ことば」である。いずれの言語を学ぶにしても外国語学習には、当該言語の背景にあるそのような要素を知るという文化学習の側面がある。そうやって生まれる視野の拡がりは、外国語を学ぶ楽しみの一つでもある。
今の自分がなぜ在るかを教えてくれるのが歴史だとすれば、「英語史」とは、今の英語がなぜ在るかを教えてくれるものだといえる。「英語史」は、英語という「ことば」の在り様について、変化の歴史的必然性を示してくれる。
「英語史」は、英語の確かな背景知識の集合体である。もちろん、これが日々の英語の授業に直接的効果や即効性のある好素材を与えてくれるわけではない。しかし、英語の様々な背景を教えてくれる「英語史」は、先生方の英語理解、および教材研究の一助になりうる幾多の事実や事象を内包している。小中学校・高等学校で英語を児童・生徒に教示する先生方、およびその道へ進もうと考えている学生諸君には、「ことば」としての英語の歴史の道を一度は通っておいていただきたい。
本書は、平成28年度から実施している文部科学省委託事業「小学校英語教科化に向けた専門性向上のための講習の開発・実施事業」の中で開講している「英語史概論」の講義用にまとめたものである。本書は英語史の外面史を扱うものの内面史を次巻に譲るため、「英語史概論」の文字通りの内容になっていると断言するのは難しい。また、著作権の関係で図表、地図等が省かれているため、配布資料、映像資料やスライド等によって内容を補っていただく必要がある。本書の構成は、小学校の先生方に興味をもって「英語史」にアプローチしていただける
ように努めたつもりである。また、本書を手にする学部学生諸君には、英語史のテキストの補助教材として、あるいは小中学校英語教育の内容学テキストの一つとして利用していただけるだろう。
メルヴィン・ブラッグ(Melvyn Bragg)による『英語の冒険』が出版されて、「英語史」が英語英米文学を専攻する学生ばかりでなく、より多くの一般の方々にとってたいへん近づき易いものになった。特にDVDの同時出版によって、映像とはいえ実物を目にするという映像説明が与えられ、英語リスニング力が問われはするものの書籍の理解が容易になっている。ただし、書籍とDVDの双方とも分量的に大部であるため、わずか1学期の講義で読了するのは難しい。本書で示した内容を学習した暁には、これを講読、視聴すると、理解を深めながらさらに楽しく学ぶことができるだろう。
なお、本書は、先にも示した講習の講義ノートの印刷装丁版といえるものであり、内外の多くの文献を参照し、妥当と思われる説を取り入れてまとめ、歴史事実を紹介するものである。そのため、本文中の引証は最小限にとどめ、煩雑さを避けるために省いた場合が多々あることをお断りしておかなければならない。

【目次】
まえがき
第1章 現代英語成立の背景
 1. 1400年頃の英語
 2. 英語史年表
 3. イギリス、英語、グレート・ブリテン、国歌
 4. 現代英語の特徴
 5. 世界諸英語
 6. 歴史は無用か?
第2章 英語のルーツ
 1. 比較言語学と印欧祖語
 2. ゲルマン語派
 3. グリムの法則
第3章 外面史:前史から近代英語の始まりまで
 1. 英語史の時代区分
 2. 英語史上の主な出来事
 3. ローマ属領時代まで
 4. 古英語の時代:アングロ・サクソン人と英語の渡来
 5. ブリテン島のキリスト教化
 6. 中英語の時代:公用語変更と再変更
 7. 近代英語の時代
 8. 代表的文献と文学作品
引用・参照文献

【著者紹介】
〔著者〕
永尾 智