生かされている私たち (人々の縁を紡いだ平有盛)
ISBN:9784863870222、本体価格:667円
日本図書コード分類:C0023(一般/単行本/歴史地理/伝記)
60頁、寸法:128×182×5mm、重量99g
発刊:2012/03

生かされている私たち (人々の縁を紡いだ平有盛)

【はじめに】
 この物語は、香川県綾(あや)歌(うた)郡に暮らす小学校五年の女の子が、自分の家であるお寺の歴史を調べるうちに不(ふ)確(たし)かなことにぶつかり、それを解(と)き明(あ)かすうちに、人はみんな生かされているのだと気付いてゆく様子を描(えが)いています。
 私たちは、ともすると自分の力で生きて今日があると思いがちです。それも一部正しいですが、多くの場合、見えている支えだけではない、見えていない誰か何かにも支えられて今日があります。このことに気付き、互いを気(き)遣(づか)える感謝する人生であって欲しいと思います。

【あとがき】
 自由研究で登(とう)場(じょう)したお寺、法専寺は門(もん)信(しん)徒(と)とともにあり続けて八百余(よ)年にわたる信仰の歴史を刻(きざ)んでいます。
 同じように、私たちはみんな、親の代、子供の代と二〇代を経(へ)ると、子孫の数は百万人を超えると計算されるそうですから、社会のために何代にも亘って役立ってきた共通した祖先に辿(たど)り着き、互いに守られ、何百年にも亘る広大な縁を背負って今があると言えます。
 全(すべ)て人々は、曽(そう)祖父母から祖父母を経て両親へ、両親から私たちへ、それから子、孫(まご)へと、楽しい、苦しい、嬉(うれ)しい、悲しいが様々(さまざま)に繰(く)り返(かえ)される営(いとな)みの中にあって、永(えい)遠(えん)に続く時間の流れのなかで生かされているのです。
 それなのに、私たちは、今の暮(く)らし向(む)き、今の境(きょう)遇(ぐう)の良し悪しといった目の前に現れていることに囚(とら)われ過ぎて、結果的に、目先の対応が中心になりがちです。そうなっている自分に気(き)付(づ)き、生かされている我(わ)が身として、はるかな未来に広がる長い営(いとな)みに向けた考え方、生き方をしてほしいものです。
 なお、この出版は、小松正憲第二十六代住職の、次の代にしっかりお寺を引き継ぎ、御(ご)門(もん)信(しん)徒(と)とともに法(ほう)灯(とう)を永遠に掲(かか)げ続けることを責(せき)務(む)とされる信念と覚悟に啓発され後押しされた結果であることを記し、心からの敬意を表する次第です。
 この作品が﨑南海子さんの誠実なアドバイスに応えられているか、心もとないことを吐(と)露(ろ)し謝意といたします。また、挿絵を描いてくれた狩野永耕さんにはご無理を申しましたが、願っていた通りの出来上がりで感謝しています。
 最後になりましたが、この出版の切っ掛けになったのは、小松ゆかりさんが小学校5年の時の「夏休み自由研究」でした。そこに描かれたお寺の生活、人々との暖かい触れ合いが皆様に伝われば幸いです。
   2011年12月10日  竹川 勝雄

【目次】
はじめに
楽しい夏休みのおわりに
法専寺の誕生から現在まで
有盛の生死と平氏の敗退
有盛の覚悟
僧侶有盛、生かされた人の縁
法専坊誕生の実地研究
生かされている私たち、一人ぼっちじゃない
あとがき

【著者紹介】
〔著者〕
竹川 勝雄
〔監修者〕
﨑 南海子
〔イラスト〕
狩野 永耕