子どもは自ら成長しようとする 再版
ISBN:9784863871304、本体価格:800円
日本図書コード分類:C1037(教養/単行本/社会科学/教育)
128頁、寸法:148.5×210×7mm、重量179g
発刊:2020/09

子どもは自ら成長しようとする 再版

【まえがき】
 筆者は、保育者として子どもにかかわったことがある。
 そして、ある時、ある子どもに出会い、その子どもに深くかかわっていく中で、「子どもは自ら成長しようとする」のではないか、ということに気づかされた。筆者は、その後さらにいろいろな子どもとかかわり、その子ども以外のいろいろな子どもの、いろいろな姿の中に、「子どもは自ら成長しようとする」ということがあるのだ、ということに気づかされた。
 また、筆者は――ある1人の子どもに出会い、自ら成長しようとしているのだと気づかされたとき――その子どもの自ら成長しようとすることを、決して踏みにじってはならない、大切にしたい、と強く思った。そこで、そのあと、子どもの自ら成長しようとすることを大切にする保育者のかかわりについて、考察を深めていこうとした。
 本書は、筆者の、この気づきと考察をまとめようとしたものである。
 大変つたないものではあるが、本書を、幼児教育に関心のある方、将来幼児教育の職に就きたいと考えている方、そして、幼稚園・保育所で子どもの保育に日々携わっている方々から読んでいただきたい。本書がその学びになんらかの仕方で貢献できなら、著者にとってこの上ない喜びである。
  鈴木 政勝

【あとがき】
 筆者は、本書のテーマ「子どもは自ら成長しようとする」に関して、既にいくつか論文を発表している。
・「子どもが自ら願いを形成し実現しようとすること(1)」(香川大学教育学部研究報告第Ⅰ部第127号、2007年、53-64頁)
・「子どもが自ら願いを形成し実現しようとすること(2)」(香川大学教育学部研究報告第Ⅰ部第127号、2007年、65-85頁)
・「子どもにおける『おおきい自分になった』という自覚とその展開(1)―ある2人の子どもの場合―」(香川大学教育学部研究報告第Ⅰ部第129号、2008年、49-60頁)
・「子どもにおける『おおきい自分になった』という自覚とその展開(2)―ある2人の子どもの場合―」(香川大学教育学部研究報告第Ⅰ部第129号、2008年、61-69頁)
 本書は、第2章を除き――これら論文に発表した内容を踏まえつつ――新たに書きおろしたものである。
 だが、第2章は、上記論文「子どもにおける『おおきい自分になった』という自覚とその展開(1)―ある2人の子どもの場合―」を加筆・修正したものである。
 本書の上梓にあたって、多くの方に世話になった。
 筆者が勤務する香川大学教育学部の同僚の先生方、同附属幼稚園、同附属幼稚園高松園舎の先生方などから、多くの貴重なご教示、ご示唆をいただいた。

【目次】
まえがき
序章
第1章 子どもが人・物を探索し知っていこうとする場合
 第1節 子どもは、穴を探索し知っていこうとするとき、どのようにするだろうか
 第2節 子どもが穴に出会って一つ目の方向を進むとき
 第3節 子どもが穴に出会って二つ目の方向を進むとき
第2章 子どもが「大きくなった・大きい自分になった」と自己認識する場合
 第1節 子どもは、どのようにして「大きくなった・大きい自分になった」という自己認識を獲得していくのか
 第2節 子どもは、どのようにして、「既に大きい自分である」と自己認識し、「大きい自分になりたい」と思い、確証―実現し、「~する所の既に大きい自分である」、「~する所の大きい自分になった」と自己認識していくのか
第3章 子どもが「~ができるようになった・~ができる自分になった」と自己認識する場合
 第1節 子どもは、どのようにして「~ができるようになった・~ができる自分になった」という自己認識を獲得していくのか
 第2節 子どもは、どのようにして、「既にいろいろなことができる自分である」と自己認識し、「できる自分になりたい」と思い、確証―実現し、「~する所の既にいろいろなことができる自分である」、「~することができる自分になった」と自己認識していくのか
第4章 保育者はどのように援助したらよいか
 第1節 筆者の保育観
 第2節 保育者はどのような援助をしたらよいのか
 第3節 ある事例において、保育者はどのように援助していったらよいのか
第5章 子どもが確証―実現することをどうしてもできない場合
 第1節 A男のエピソード
 第2節 T男の事例
 第3節 M子の事例
あとがき

【著者紹介】
〔著者〕
鈴木 政勝